電験三種の電力 効率の考え方を押さえる
交効率をマスターすると、水力発電、火力発電の計算が理解しやすくなる
電験三種では、効率を使った計算することがよくあります。特に水力発電や火力発電では効率を使った計算が欠かせません。今回は効率について、水力発電を例に解説しますので、効率の考え方や効率を使った計算をマスターしましょう。
■効率とは?
効率とは、入力と出力の比のことで、 で求められます。( η:効率)
図1は、効率を求めるときに必要な入力と出力の関係を表した図です。
図のように入力から損失を差し引くと出力となります。
■水力発電の効率を使った計算
効率を使った水力発電の計算において、基礎となる数値に理論水力という数値があります。
理論水力とは、水車に与えられる動力 のことで、1秒間に水車を通過する水量Q 〔m3/s〕と有効落差
〔m〕から求められます。
図2は、水力発電のエネルギーの流れを簡単に示した図です。
理論水力は水車の動力ですので、水車の入力となります。
水車では、摩擦などによって損失が発生します。そのため、入力から損失を引いた残りが出力となります。
水車と発電機は直結されていますので、図2より水車の出力=発電機の入力となります。
発電機でも、電力損失などの損失が発生します。そのため、水車と同様に、入力から損失を引いた残りが出力となります。
この発電機出力が発電所の出力ということになります。
また、 を総合効率といいます。
図2の水車をタービンに置き換えると火力発電のエネルギー流れを示した図になります。
ただし、火力発電の公式は、水力発電とは異なりますが、考え方は同じです。
■例題で覚える
例題1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
出力80〔kW〕、損失20〔kW〕の発電所の効率(小数)として。正しいものは次のうちどれか。
(1)0.6 (2)0.7 (3)0.8 (4)0.9 (5)1.0
解き方 答え (3)
「出力=入力-損失」より、「入力=出力+損失」
よって、出力80〔kW〕、損失20〔kW〕の火力発電所の入力は、80+20=100〔kW〕
例題2 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
理論水力100〔kW〕、総合効率50〔%〕の水力発電所がある。この水力発電所の出力〔kW〕として正しいものは次のうちどれか。
(1) 10 (2) 20 (3)30 (4)40 (5)5
解き方 答え (5)
発電所の出力=発電機出力ですので、発電機出力の公式 を用います。
よって、理論水力 〔kW〕、総合効率50〔%〕(小数で表すと0.5)より、
×
=100×0.5=50〔kW〕
■電験三種での出題例
水力発電所において、有効落差100〔m〕、水車効率92〔%〕、発電効率94〔%〕、定格出力2500〔kW〕の水車発電機が80〔%〕負荷で運転している。このときの流量〔m3/s〕の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)1.76 (2)2.36 (3)3.69 (4)17.3 (5)23.1
答え (3)
解き方
①流量 Q〔m3/s〕、有効落差 〔m〕、水車効率
、発電機効率
としたとき、出力P 〔kW〕は、
〔kW〕
②問題より数値を代入すると、 P=2500〔kW〕、 H=100〔m〕、 、
ですので、
≒2.95〔m3/s〕
③80〔%〕負荷で運転しているとき、流量も80〔%〕となりますので
〔m3/s〕
出題例のように効率を使って、流量などを求める計算は、電験三種の電力の水力発電でよくある問題です。また、機械では、効率そのものを計算する問題もあります。そのとき、効率とはどんなものかを理解していれば、入力が何か、出力は何かを掴むだけで、効率を求めることができますので、ぜひマスターしましょう。