電験三種の法規 力率改善の計算の要領を押さえる

電験三種の法規 力率改善の計算の要領を押さえる

力率改善がわかると法規、電力で使える

交流の電力は、皮相電力(単位は〔V・A〕)、有効電力(単位は〔W〕)、無効電力(単位は〔var〕)の3つを考える必要があります。その3つの電力をベクトルの直角三角形に表すことで、三角関数やピタゴラスの定理を用いた計算ができます。力率とは、皮相電力と有効電力の比のことで、力率改善とは力率を100%に近づけることをいいます。力率改善の計算では、改善前と改善後の電力の直角三角形を考え、これらを比較することで計算できます。

■力率とは

電力ベクトルの直角三角形は図1のように表し、cosθ=有効電力/皮相電力 を力率といいます。

私たちが消費電力と呼んでいる電力は有効電力で、皮相電力のうち、有効電力として消費された電力の割合が力率となります。力率は、%で表記する場合と小数で表記する場合があります。

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力率には、遅れ力率と進み力率があり、通常、遅れ力率の場合は図1(a)のように無効電力 が下向きのベクトル、進み力率の場合は図1(b)のように上向きのベクトルで表します。

■力率改善

無効電力を減らして、力率を1に近づけることを力率改善といいます。一般に、電気設備は遅れ力率の負荷であることが多く、遅れ無効電力が大きくなります。そこで、負荷と並列に電力用コンデンサ(進み無効電力)を接続して、力率を改善します。

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力率改善を行うことで、図2(b)のように、有効電力 が同じであっても、皮相電力を小さくできることから、送配電線の電力損失の軽減や設備の有効利用などができます。

力率改善を計算する場合には、図2の(a)を改善前、(b)を改善後として計算するとわかりやすくなります。

■例題で覚える

例題1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

皮相電力1000〔kV・A〕、有効電力600〔kW〕の需要設備がある。この設備の有効電力を変えずに、力率を80〔%〕に改善するために必要なコンデンサの容量はいくらか。正しい値を次のうちから選べ。ただし、力率は遅れとする。

(1)250  (2)350  (3)450  (4)550  (5)650

解き方                答え  (2)

問題の条件から、力率改善前と改善後の電力の直角三角形を考えます。

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図3の(a)が改善前、(b)が改善後です。

改善前は、皮相電力S=1000 〔kV・A〕、有効電力P=600 〔kW〕ですので、(a)のような直角三角形になります。このとき、力率はcosθ=600/1000=0.6 となります。

また、無効電力 は、ピタゴラスの定理よりQ=\sqrt{1000^{2}-600^{2}} 〔kvar〕となります。

次に、改善後は、有効電力を変えずに、力率を0.8にするのですから、(b)のような直角三角形になります。

有効電力P= 600〔kW〕、力率 cosθ=0.8ですので、図4(b)より、

0.8=600/S’ → S’=600/0.8=750 〔kV・A〕となります。

このときの無効電力Q’ は、ピタゴラスの定理より Q'=\sqrt{750^{2}-600^{2}}=450〔kvar〕となります。

したがって、無効電力を800〔kvar〕から、450〔kvar〕にすれば、力率は0.6から0.8に改善できますので、無効電力を減らすコンデンサの必要な容量は800-450=350〔kvar〕となります。

■電験三種での出題例

使用電力600〔kW〕、遅れ力率80〔%〕の三相負荷に電力を供給している配電線路がある。負荷と並列に電力用コンデンサを接続して線路損失を最小とするために必要なコンデンサの容量〔kvar〕はいくらか。正しい値を次のうちから選べ。

(1)250  (2)350  (3)450  (4)550  (5)650

答え (3)

解き方

使用電力=有効電力P=600 〔kW〕、力率0.8より

皮相電力S は、図4より、0.8=600/S  → S=600/0.8=750 〔kV・A〕となります。

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この負荷の無効電力 は、ピタゴラスの定理よりQ’=\sqrt{750^{2}-600^{2}}〔kvar〕となります。

線路損失を最小となるのは、力率=1のときですので、無効電力を0〔kvar〕すれば、線路損失は最小となります。

よって、無効電力と等しい容量の電力用コンデンサを負荷と並列に接続すれば、よいので答えは450〔kvar〕となります。

力率改善は、出題例のような線路損失と組み合わせた問題もあります。線路損失は電力で出題されることもあるため、力率改善が電力でも出題されることがあります。線路損失以外にも変圧器と組み合わせた問題もありますので、考え方の基本をしっかりマスターしておきましょう。

カテゴリー: 法規
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