電験三種の法規 変圧器全日効率の計算方法を押さえる

電験三種の法規 変圧器全日効率の計算方法を押さえる

全日効率を計算するために、鉄損と銅損を理解しよう
変圧器を1日中運転したときの効率を「全日効率」といいます。効率は出力÷入力で計算し、入力は出力+損失です。変圧器の損失は鉄損と銅損です。そのため、全日効率を計算するときには、鉄損と銅損についても知っておく必要があります。今回は全日効率を求めるための計算と変圧器の損失について解説します。

■全日効率の計算とは

全日効率の公式は次の通りです。

全日効率\eta _{d}=\frac{W}{W+W_{i}+W_{c}}

W:1日の全出力電力量    W_{i}:1日の鉄損電力量    W_{c}:1日の銅損電力量

鉄損電力量

w_{i}=P_{i}\times 24〔W・h〕

鉄損 P_{i}に1日の時間(24時間)をかけたもの。

銅損電力量

2

全負荷銅損をP_{c} としたとき、 \frac{1}{n}負荷で T時間使用した場合の銅損電力量\frac{1}{n}を負荷率といい、銅損は負荷率の2乗に比例します。

■銅損、鉄損

変圧器に負荷を接続し運転をすると負荷電流が流れます。負荷電流によって巻線で発生する損失を銅損といいます。変圧器を1日中運転すると負荷電流は変化し、銅損も変化します。そのため、銅損の計算には、変圧器がどのように運転されているかを考える必要があります。

一方、鉄損は変圧器の鉄心で発生する損失で、負荷電流とは関係なく、一次側に電圧が加わっていると常に一定量発生します。

■例題で覚える

例題1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

鉄損20〔W〕の変圧器を一日運転したときの鉄損電力量W_{i} 〔W・h〕はいくらか。

解き方                答え 480〔W・h〕

一日の鉄損電力量 W_{i}は、鉄損P_{i} に24をかけます。

W_{i}=20\times 24=480〔W・h〕

例題2 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

全負荷時の銅損が50〔W〕の変圧器を全負荷で10時間、 1/2負荷で14時間、運転したときの銅損電力量〔W・h〕の合計はいくらか。

解き方                答え 675〔W・h〕

全負荷の場合、負荷率 \frac{1}{n}=1となります。

全負荷で10時間運転したときの銅損電力量 P_{c2}〔W・h〕は、

P_{c2}=(\frac{1}{2})^{2}\times 50\times 14=175〔W・h〕

したがって、銅損電力量の合計P_{c} は、P_{c}=P_{c1}+p_{c2}=500+175=675 〔W・h〕

 

例題3 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

全負荷時の出力100〔kW〕、銅損10〔kW〕、鉄損3〔kW〕の変圧器を全負荷で12時間、

60〔%〕負荷で12時間、運転したときの全日効率はいくらか。

 

例題3 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

全負荷時の出力100〔kW〕、銅損10〔kW〕、鉄損3〔kW〕の変圧器を全負荷で12時間、

60〔%〕負荷で12時間、運転したときの全日効率はいくらか。

解き方                答え  89〔%〕

1日の全出力電力量 〔kW〕は、全負荷で12時間、60〔%〕の負荷で12時間運転していますので、

W=100×12+100×0.6×12=1200+720=1920〔kW・h〕

 

1日の銅損電力量 W_{c}は、全負荷で12時間、60〔%〕の負荷で12時間運転していますので、 W_{c}=10\times 12+10(\frac{60}{100})^{2}\times 12=120+43.2=163.2〔kW・h〕

1日の鉄損電力量 W_{i}は、W_{i}=3\times 24=72 〔kW・h〕

したがって、全日効率\eta _{d}

\eta _{d}=\frac{W}{W+W_{i}+W_{c}}\times 100=\frac{1920}{1920+163.2+72}\times 100≒89〔%〕

■電験三種での出題例

配電線路に接続された定格容量20〔kV・A〕、定格二次電流200〔A〕、定格電圧時の鉄損150〔W〕、定格負荷時の銅損270〔W〕の単相変圧器がある。この変圧器の二次側の日負荷曲線が図1のような場合について、次の(a)及び(b)に答えよ。

1

(a)変圧器の一日の損失電力量〔kW・h〕として正しい値は次のうちどれか。

(1)3.43  (2)4.43  (3)5.43  (4)6.43  (5)7.43

(b)変圧器の全日効率〔%〕として最も近い値は次のうちどれか。

(1)94.4  (2)95.5  (3)96.6  (4)97.7  (5)98.8

答え (a)…(3)  (b)…(4)

解き方

(a)

①鉄損による損失電力量 は、定格電圧時の鉄損が150〔W〕より

W_{i}=P_{i}\times 24=150\times 24=3600〔W・h〕

②銅損による損失電力量W_{c} は、定格負荷時(全負荷時)の銅損が270〔W〕です。

また、変圧器の各時間帯の負荷の状況は図1の日負荷曲線より、0~6時が4〔kW〕、

6~12時が12〔kW〕、12~18時が16〔kW〕、18~24時が6〔kW〕です。

したがって、各時間帯の負荷率は、0~6時が4/20 、6~12時が12/20 、12時~18時16/20が 、18時~24時が6/20 となります。

そのため、各時間帯の銅損電力量は、W_{c}=(\frac{1}{n})^{2}\times P_{c}\times T より

3

よって、一日の銅損電力量 は、

W_{c}=W_{6}+W_{12}+W_{18}+W_{24}=64.8+583.2+1036.8+145.8=1830.6〔W・h〕

③一日の損失電力量は、W_{i}+W_{c}=3600+1830.6=5430.6 〔W・h〕≒5.43〔kW・h〕

(b)

①変圧器の出力電力量W は、図1より、 W=(4+12+16+6)×6=228〔kW・h〕

 

②全日効率\eta _{d}は、\eta _{d}=\frac{W}{W+W_{i}+W_{c}} ≒97.7〔%〕

 

全日効率の問題では出題例のように、変圧器の負荷の状況を日負荷曲線から読み取る形式が多くあります。銅損を求める場合、負荷率の2乗に比例するということがポイントとなりますので、日負荷曲線をしっかりと確認しましょう。

また、銅損や出力電力量をきちんと計算できるようにしておくことが、全日効率の計算のポイントとなりますので、しっかりマスターしておきましょう。

カテゴリー: 法規
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