〔電力001〕水力発電所の出力と揚水電力とは?

〔電力001〕水力発電所の出力と揚水電力とは?

(1)水力発電とは

水力発電所は、水が高いところから低いところへ落ちるときの力を利用して水車を回し、水車と直結した発電機が磁界の中で回転することにより電気を発生しています。
言い換えれば、水力発電所は水のもつ位置エネルギーを水車により機械エネルギーに変換し、さらに発電機で電気エネルギーに変え電力として、家庭や工場などに送っています。

水力発電の基本原理は「理論」で学習する導体(コイルが)磁束を切るときに生じる誘導起電力です。(生じる誘導起電力の向きはフレミングの右手の法則によります。)

(2)水力発電所の出力

発電機で発生する電力(出力)P〔kW〕の大きさは、水車に流れ込む水の流量Q〔m³/s〕と有効落差 H〔m〕の積に比例し、次式で表されます。
理論出力P=9.8QH〔kW〕
この式の意味を見ていきましょう。
9.8というのは重力加速度(物体が上から下へ落ちるときの加速度)のことで、地球上では重力加速度は9.8〔m/s²〕です。
物体の質量〔kg〕に重力加速度9.8〔m/s²〕をかけるとその物体にはたらく力(重力)の大きさ〔N〕になります。
1〔kg〕×9.8〔m/s2〕=9.8〔N〕(=〔kg・m/s²〕)

Qは、単位時間(1秒)当たりの水車の使用水量で、単位は〔m³/s〕です。
ここで、水1〔m³〕は、水1,000〔kg〕のことですので、1〔m³/s〕は1,000〔kg/s〕と書き換えられます。したがってQ〔m³/s〕=1,000Q〔kg/s〕です。

Hは、水車発電機の有効落差(位置エネルギーとして利用できる水の高さ)で
有効落差 H =総落差 H0 -損失落差 hです。単位は〔m〕です。
総落差:水力発電所取水口水面と放水口水面との水位の差
損失落差:導水路や水圧管路での流水の摩擦によるエネルギーの損失を水柱の高さに換算したもの

理論出力 P〔kW〕を単位をつけて計算すると、
P=9.8〔m/s²〕\times1000Q〔kg/s〕\times H〔m〕=9.8\times1000QH〔m²・kg/s³〕
ここで、〔N〕=〔kg・m/s²〕、〔J〕=〔N・m〕、〔W〕=〔J/s〕ですので、
〔m²・kg/s³〕=〔N・m/s〕=〔J/s〕=〔W〕となり、
P=9.8\times1000QH〔W〕=9.8QH〔kW〕になります。
実際の発電機の出力は、水車や発電機には損失がありますので、理路音出力より小さくなります。

水車の効率を \eta_T〔pu〕、発電機の効率を \eta_Gとすると、
発電機出力 P_G〔kW〕は、
P_G=9.8QH\eta_T\eta_G 〔kW〕………式①
となります。
(この発電機出力のことを一般に発電所出力と呼んでいます。)

(3)揚水発電、揚水電力について

揚水発電は、深夜などの軽負荷時に生じる余剰電力を利用して、下部貯水地から上部貯水池に水車ポンプとして使って揚水しておき、重負荷時にその水を下に落として発電する方式です。
つまり、余剰電力を位置エネルギーに変換・貯蔵しておき、必要に応じて再度電気エネルギーに変換します。

揚水発電所の出力は上の式①になりますが、注意しなければいけないのは、揚水電力 P_Mという場合は揚水ポンプの電動機入力のことで、その式は次のようになります。
\displaystyle P_M=\frac{9.8QH_M}{\eta_P\eta_M}〔kW〕………式②
ただし、 H_M:有効揚程〔m〕=H_0+h(総揚程+損失揚程)  \eta_P:ポンプ効率〔pu〕  \eta_M:電動機効率〔pu〕

式②は式①の反対と考えればよいのです。

式①の有効落差 Hは、発電機出力の場合は水を下に落とすとき、摩擦などにより損失を生じるので、その分を水の高さにしてマイナスしなければなりません。
式②の有効落差 H_Mは、電動機入力の場合は水を揚げるとき、損失分を余計に持ち上げる必要があるのでプラスにします。

効率 \etaについては、 \eta=出力/入力より、出力=入力× \eta、入力=出力/ \etaとなるので、発電所出力の場合は効率 \etaをかけ、揚水電力(電動機入力)の場合は効率 \etaで割ります。

このように理解しておけばよいのです。

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