〔電力005〕電線路の電圧降下の計算方法

〔電力005〕電線路の電圧降下の計算方法

電力科目で、電線路に生じる電圧降下の計算問題はよく出題されます。
送電端電圧(電源電圧)V_5〔V〕と、受電端電圧(負荷電圧)V_r〔V〕の差がこの電圧降下になります。
電圧降下の大きさは負荷電流と、線路の抵抗、リアクタンス及び負荷の力率によって決まります。
電圧降下の大きさを求める手順について見ていきましょう。

(1) 単相の等価回路と、ベクトル図の描き方

電圧降下の計算問題は、単相2線式または三相3線式の電線路についてです。
まず、単相(一相分)の等価回路とベクトル図の描き方を理解しておくことが基本になります。

〔 等価回路より、電圧のベクトルを描く 〕

① 受電端電圧を基準として、水平方向にE_rのベクトルを描く。
② 負荷は誘導性(\cos\thetaは遅れ力率)が一般的であるので、E_rに対して負荷電流 のベクトルを\theta遅れ方向に描く。
③ E_rの先端より、Iと平行に線路抵抗 による電圧降下 のベクトルを描く。(IRIは同相)
④ 誘導リアクタンスXは、抵抗Rに対して位相は90°進みなので、RIの先端より、90°進み方向に誘導リアクタンスXによる電圧降下XIのベクトルを描く。
⑤ 受電端電圧E_rRIXIのベクトルを加えたものが送電端電圧E_sのベクトルになります。

(2)電圧降下の大きさの計算の仕方

ベクトル図より、三平方の定理を使って送電端電圧 E_sは、
\displaystyle E_{s}={\sqrt{\mathstrut (E_{r}+RI\cos\theta +XI \sin\theta)^{2}+(XI\cos\theta -RI\sin\theta)^{2}}} 〔V〕 になりますが、実際は、{\sqrt{\mathstrut }}
の第2項は第1項に比べてとても小さい(ベクトル図で表した角度\deltaは小さく\bar{AB}の長さも小さい)
ので、近似的に\displaystyle E_{s}\fallingdotseq E_{r}+RI \cos \theta +XI \sin \theta〔V〕が成り立ちます。(\bar{OA}\fallingdotseq\bar{OB}
∴ 電圧降下eは、近似的には、e=E_{s}-E_{r}\fallingdotseq I(R \cos\theta+X\sin\theta)〔V〕 …… ①
が成り立ち、電験3種の計算問題ではこの近似式を使います。
尚、①式は、単相の等価回路で抵抗RとリアクタンスXは、電線1線分の場合ですので、単相2線式では、電圧降下は往復の線路2線で生じるので①式の2倍に、三相3線式では、線間電圧Vは、相電圧E{\sqrt{\mathstrut 3}}倍であるので、線間電圧の電圧降下は①式の{\sqrt{\mathstrut 3}}倍になります。

単相2線式の電圧降下 e'は、e'=2I(R\cos\theta+X\sin\theta)〔V〕 …… ②
三相3線式の電圧降下 \nu は、\nu={\sqrt{\mathstrut 3}}I(R\cos\theta+X\sin\theta)〔V〕 …… ③

[ 練習問題 ]

図のような三相3線式配電線路において、電源側S点の線間電圧が6900〔V〕のとき、B点の線間電圧〔V〕の値はいくらか。
ただし、配電線1線当たりの抵抗は0.3〔Ω/km〕、リアクタンスは0.2〔Ω/km〕とする。また、計算においてはS点、A点及びB点における電圧の位相差が十分に小さいとの仮定に基づき適切な近似を用いる。

[ 解答 ]

三相3線式電路S-B間の、線間の電圧降下の大きさを求め、S点の線間電圧6900〔V〕から引けばB点の線間電圧の値になる。また題意より、近似値を求めればよいので③式を使えばよい。
ここで、A点から負荷に流れる電流 I_A=150〔A〕、B点から負荷に流れる電流 I_B=100〔A〕とすれば、
A-B間の電圧降下 \nu_{AB}は、
\nu_{AB}={\sqrt{\mathstrut 3}}I_{B}(R\cos\theta+X\sin\theta)={\sqrt{\mathstrut 3}}\times 100 \times (0.3\times0.8+0.2x{\sqrt{\mathstrut 1-0.8^2}})=36{\sqrt{\mathstrut 3}}〔V〕
S-A間の電圧降下 \nu_{SA}は、
\nu_{SA}={\sqrt{\mathstrut 3}}(I_{A}+I_{B})(R\cos\theta+X\sin\theta)={\sqrt{\mathstrut 3}}\times(150+100)\times(0.3\times0.8\times+0.2\times{\sqrt{\mathstrut 1-0.8^2}})=90{\sqrt{\mathstrut 3}}〔V〕
(負荷の力率は共に0.8(遅れ)であるので、S-A間に流れる電流の大きさは I_{A}+I_{B}でよい。)
S-B間の全電圧降下 は、\nu=\nu_{AB}+\nu_{SA}=36{\sqrt{\mathstrut 3}}+90{\sqrt{\mathstrut 3}}=126{\sqrt{\mathstrut 3}}\fallingdotseq218〔V〕
∴ B点の線間電圧 V_Bは、V_{B}=6900-218=6682〔V〕

答 6682〔V〕

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