〔電力010〕交流送電と直流送電の利点

〔電力010〕交流送電と直流送電の利点

直流送電については、電力科目の送配電の内容として、試験では文章問題でよく出題されています。ここでは主に直流送電の長所と短所についてまとめています。
交流送電は、水力発電所、火力発電所、原子力発電所などで発生した電気を、変電所、送電線路、配電線路を経て需要家に送る送電方式です。
直流送電は、長距離送電や系統周波数の異なる電力について、電力融通を行う送電にも使われています。

1. 交流送電方式

発電所で500〔kV〕系、275〔kV〕系、154〔kV〕系のいずれかの送電系統で送電され、一次、二次変電所で66〔kV〕、22〔kV〕などに降圧されて一部は大口需要家へ供給されます。 他は配電用変電所で20〔kV〕、6.6〔kV〕に降圧され、配電線路を経て高圧需要家へ供給されるものと、配電線路より柱上変圧器を経て100〔V〕、200〔V〕の低圧にして一般需要家に供給されています。

2. 直流送電方式

直流送電は上の図2のような構成で、交流→直流→交流の変換をして直流送電を行います。
長所と短所は以下の通りです。

【長所】

①長距離、大電力送電時のリアクタンス(C)の影響がないので、電線の許容電流の限度まで送電できる。
②直流では無効電流(LC分)がないので、交流送電のように充電系統の補償が不必要である。また、誘電体損がなく、海底ケーブルなど長距離の電力ケーブルの使用に向いている。(誘電体は絶縁物のこと)
③交流電圧の最大値は、実効値の\displaystyle \sqrt{2}倍で、直流は最大値と実効値は同じである。直流電圧は交流電圧の実効値と同一であるが、絶縁耐力は最大値で決まるので、交流より小さい絶縁でよい(\displaystyle 1/ \sqrt{2}倍)。また、コロナ損も少ない。
④充電電流が流れない。(LC分がない。)
⑤異周波数交流の連係ができる。
⑥導体は基本的に2条でよく、大地を帰路とする場合は1条でよいので送電線路の建設費が安い。
⑦表皮効果を生じないため、電力損失が小さい。

【短所】

①送受電端に交流-直流変換装置が必要である。また、受電端に負荷(交流)の無効電力を供給するための調相機(同期機)、電力コンデンサなどの無効電力源が必要となる。
②交流-直流電力変換装置から発生する高調波・高周波による障害への対策が必要である。また、漏れ電流による地中埋設物の電食対策も必要である。漏れ電流などによる地中埋設物に対する電食問題が生じる。
③変換装置に高調波が発生するので、高調波障害対策が必要となる。
④直流電流では電流零点がないため、大電流の遮断が難しい。また、絶縁については、公称電圧値が同じであれば、一般に交流電圧より絶縁距離が短くなる。高電圧、大電流の直流遮断は相当困難なので、系統構成の自由度が低い。
⑤大地帰路方式の場合は電食を起こす。なお、直列リアクトルは脈動分を滑らかにするためのものである。また、無効電力供給設備は、交流負荷に対する無効電力を供給するためのものである。

3. 長距離送電

長距離送電線路では、電線路の静電容量(コンデンサ)により、負荷が大きい時は図3に示すように受電電圧\displaystyle E_R〔V〕は送電電圧\displaystyle E_S〔V〕より低くなり、正常に送電できます。
ところが軽負荷時には、図4に示すように受電電圧\displaystyle E_R〔V〕は、送電電圧\displaystyle E_S〔V〕より高くなります。これをフェランチ現象と言います。このため、軽負荷時には、送電用電力コンデンサを切り離す必要があります。

  

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