単相2線式と単相3線式の送電電力、電力損失、電線重量の比較

単相2線式と単相3線式の送電電力、電力損失、電線重量の比較

電験三種の電力において、各配電方式の比較は試験においてよく出題されています。
主な配電方式として、単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式があり、それらの送電電力や電力損失、電線重量の比較が主に試験で問われます。

今回は単相2線式と単相3線式を例に、それぞれ送電電力、電力損失、電線重量について、単相3線式は単相2線式の何倍になるか、計算方法を説明していきます。

1. 1線あたりの送電電力

下図のように、電圧\displaystyle V〔V〕、電流\displaystyle I〔A〕、負荷の力率\displaystyle \cos \theta を一定であるとします。
単相2線式と単相3線式

単相2線式の送電電力を\displaystyle P_2〔W〕、単相3線式の送電電力を\displaystyle P_3〔W〕とすると、
\displaystyle P_2=VI \cos \theta〔W〕
\displaystyle P_3=2VI \cos \theta〔W〕
単相2線式は電線2本で送電するので、1線あたりの送電電力を\displaystyle P'_2〔W〕とすると、
\displaystyle P'_2 = \frac{P_2}{2} = \frac{VI \cos \theta}{2}〔W〕
単相3線式は電線3本で送電するので、1線あたりの送電電力を\displaystyle P'_3〔W〕とすると、
\displaystyle P'_3 = \frac{P_3}{3} = \frac{2VI \cos \theta}{3}〔W〕
以上より、
\displaystyle \frac{P'_3}{P'_2} = \frac{\displaystyle \frac{2VI \cos \theta}{3}}{\displaystyle \frac{VI \cos \theta}{2}} = \frac{2VI \cos \theta}{3} \times \frac{2}{VI \cos \theta} = \frac{4}{3} \fallingdotseq 1.33
よって、単相3線式の1線あたりの送電電力は、単相2線式の1.33倍(133%)です。

2. 電線の電力損失

下図のように送電電力\displaystyle P〔W〕、電圧\displaystyle V〔V〕、負荷の力率\displaystyle \cos \thetaが一定で、電線1線の抵抗値は\displaystyle R〔Ω〕で等しいとします。
単相2線式と単相3線式

単相2線式の電流を\displaystyle I_2〔A〕とすると、\displaystyle P=VI_2 \cos \thetaより、
\displaystyle I_2 = \frac{P}{V \cos \theta}〔A〕
単相3線式の電流を\displaystyle I_3〔A〕とすると、\displaystyle P=2VI_3 \cos \thetaより、
\displaystyle I_3 = \frac{P}{2V \cos \theta}〔A〕
単相2線式は2線で電力損失が発生します。その電力損失\displaystyle p_2〔W〕は、
\displaystyle p_2 = 2{I_2}^2R = 2 \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2 R〔W〕
単相3線式は、電線が3本ありますが、中性線の電流は0〔A〕ですので、電力損失が発生するのは2本です。その電力損失\displaystyle p_3〔W〕は、
\displaystyle p_3 = 2{I_3}^2R = 2 \left( \frac{P}{2V \cos \theta} \right) ^2 R = \frac{1}{2} \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2R〔W〕
以上より、
\displaystyle \frac{p_3}{p_2} = \frac{\displaystyle \frac{1}{2} \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2R}{\displaystyle 2 \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2 R} = \frac{\displaystyle \frac{1}{2}}{2} = \frac{1}{4} = 0.25
よって、単相3線式の電力損失は、単相2線式の0.25倍(25%)です。

3. 電線重量

配電方式の比較において、一番計算が難しいのがこの電線重量です。
下図のように送電電力\displaystyle P〔W〕、電圧\displaystyle V〔V〕、負荷の力率\displaystyle \cos \thetaが一定で、電力損失\displaystyle p〔W〕が等しいとします。また、電線については同じ材質(導電率\displaystyle \sigma〔S/m〕、密度\displaystyle \rho〔kg/m3〕)、同じこう長\displaystyle l〔m〕のものであるとします。

単相2線式は電線が2本ですので、電線の断面積を\displaystyle S_2〔m2〕としたときの電線重量を\displaystyle W_2〔kg〕とすると、
\displaystyle W_2 = 2 \times \rho \times S_2 \times l〔kg〕
単相3線式は電線が3本ですので、電線の断面積を\displaystyle S_3〔m2〕としたときの電線重量を\displaystyle W_3〔kg〕とすると、
\displaystyle W_3 = 3 \times \rho \times S_3 \times l〔kg〕
よって、
\displaystyle \frac{W_3}{W_2} = \frac{3 \times \rho \times S_3 \times l}{2 \times \rho \times S_2 \times l} = \frac{3S_3}{2S_2}
つまり、電線の断面積の関係を求めれば良いことがわかります。

2. 電線の電力損失で求めたように、単相2線式の電力損失は\displaystyle p_2 = 2{I_2}^2R = 2 \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2 R〔W〕ですので、ここに\displaystyle R = \frac{l}{\sigma S}〔Ω〕を代入すると、
\displaystyle p_2 = 2 \times \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2 \times \frac{l}{\sigma S_2}〔W〕
同様に、単相3線式の場合は\displaystyle p_3 = \frac{1}{2} \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2R〔W〕より、
\displaystyle p_3 = \frac{1}{2} \times \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2 \times \frac{l}{\sigma S_3}〔W〕
電力損失が等しいとしているので、\displaystyle p_2 = p_3より、
\displaystyle 2 \times \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2 \times \frac{l}{\sigma S_2} = \frac{1}{2} \times \left( \frac{P}{V \cos \theta} \right) ^2 \times \frac{l}{\sigma S_3}
\displaystyle \frac{2}{S_2} = \frac{1}{2S_3}
\displaystyle S_2 = 4S_3
以上より、
\displaystyle \frac{W_3}{W_2} = \frac{3 \times \rho \times S_3 \times l}{2 \times \rho \times S_2 \times l} = \frac{3S_3}{2S_2} = \frac{3S_3}{2 \times 4S_3} = \frac{3}{8} = 0.375
よって、単相3線式の電線重量は、単相2線式の0.375倍(37.5%)です。

以上が代表的な配電方式の比較の計算方法です。
三相3線式と三相4線式の比較等、異なる配電方式についても考え方は同じですので、自分で計算できるよう練習しておきましょう。

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