〔機械012〕変圧器のインピーダンスと短絡電流

〔機械012〕変圧器のインピーダンスと短絡電流

変圧器のインピーダンスとはどんな式で表されるのか?
短絡電流はどのように計算できるのか?
これらの変圧器に関する事柄について説明しています。

三相変圧器は単相変圧器を2台または3台使用していると考えます。
ここでは単相変圧器について考えていきましょう。

1. インピーダンス電圧・短絡インピーダンス



図1において、変圧器の二次側負荷を短絡し、一次側に定格の周波数の電圧を加えていきます。
電圧を大きくしていくと、やがて一次定格電流\displaystyle I_{1n}〔A〕と同じ大きさの電流が流れます。
このときの供給電圧をインピーダンス電圧\displaystyle V_{p}〔V〕と言います。
電流計で定格電流を、電圧計で\displaystyle V_{p}〔V〕を測定します。
これにより、変圧器の一次巻線+二次巻線のインピーダンスが求められるのです。
これを短絡試験と言います。
また、短絡時の変圧器巻線のインピーダンス\displaystyle Z〔Ω〕は、\displaystyle Z = \frac{V_p}{I_{1n}}〔Ω〕と求められます。
一次換算の抵抗値を\displaystyle \dot r_{12}〔Ω〕、リアクタンスを\displaystyle \dot x_{12}〔Ω〕とすると、

\displaystyle \dot r_{12} = r_1+a^2r_2〔Ω〕
\displaystyle \dot x_{12} = jx_1+ja^2x_2 = j \left(x_1+a^2x_2 \right)〔Ω〕

よって、\displaystyle \dot Z〔Ω〕及びその大きさ\displaystyle Z〔Ω〕は、

\displaystyle \dot Z = r_{12}+jx_2〔Ω〕
\displaystyle Z = \sqrt{{r_{12}}^2+{x_{12}}^2}〔Ω〕

となります。

2. 短絡電流

上の図1において負荷を短絡したときに、変圧器の定格電圧\displaystyle V_{1n}〔V〕を加えると、大きな電流が流れます。
この電流を短絡電流\displaystyle I_{1S}〔A〕といい、変圧器容量や遮断器許容電流、遮断器容量を決めるのに利用されます。
なお、電圧と電流は比例し、次式で求められます。

\displaystyle I_{1S} = \frac{V_{1n}}{Z}〔A〕

3. 百分率インピーダンス(%インピーダンス)

図2で短絡をはずし、負荷(\displaystyle \dot Z_L = a^2r+ja^2x〔Ω〕)を接続した場合において、%インピーダンス(\displaystyle \%Z)は、全体のインピーダンス\displaystyle Z_T〔Ω〕と短絡インピーダンス\displaystyle Z〔Ω〕の比を百分率で表したものとなります。
全体のインピーダンス\displaystyle \dot Z_T〔Ω〕及びその大きさ\displaystyle Z_T〔Ω〕は、

\displaystyle \dot Z_T = \dot Z + \dot Z_L = \left(r_{12}+jx_{12} \right) + \left(a^2r + ja^2x \right)〔Ω〕
\displaystyle Z_T = \sqrt {{\left( r_{12}+a^2r \right)}^2 + {\left( x_{12} + a^2x \right)}^2}〔Ω〕

よって\displaystyle \%Zは、

\displaystyle \%Z = \frac{Z}{Z_T} \times 100〔%〕

ここで\displaystyle Z = \frac{V_p}{I_{1n}}\displaystyle Z_T = \frac{V_{1n}}{I_{1n}}を代入すると、インピーダンス電圧\displaystyle V_p = I_{1n}Zであるから、

\displaystyle \%Z = \frac{ \frac{V_p}{I_{1n}} }{ \frac{V_{1n}}{I_{1n}} } \times 100 = \frac{V_p}{V_{1n}} \times 100 = \frac{I_{1n}Z}{V_{1n}} \times 100 = \frac{V_{1n}I_{1n}Z}{{V_{1n}}^2} \times 100〔%〕…①

定格容量を\displaystyle P_n〔V・A〕とすると、\displaystyle P_n = V_{1n}I_{1n}なので、

\displaystyle \%Z = \frac{V_{1n}I_{1n}Z}{{V_{1n}}^2} \times 100 = \frac{P_nZ}{{V_{1n}}^2} \times 100〔%〕

これを\displaystyle Zについて解くと、

\displaystyle Z = \frac{{V_{1n}}^2}{P_n} \times \frac{\%Z}{100}〔Ω〕

三相変圧器については、線間電圧\displaystyle V_{1n}\displaystyle \sqrt 3でわります。
また、①式を電流に注目して変形していくと、

\displaystyle \%Z = \frac{V_p}{V_{1n}} \times 100 = \frac{I_{1n}Z}{I_{1S}Z} \times 100 = \frac{I_{1n}}{I_{1S}} \times 100〔%〕

変圧器の銘板には、百分率インピーダンス(\displaystyle \%Z)、定格容量(\displaystyle P_n〔kV・A〕)、定格電圧(\displaystyle V_{1n} / V_{2n}〔kV〕)、定格周波数が書かれています。これより、変圧器の巻線インピーダンス(\displaystyle Z〔Ω〕)が求められます。
大容量変圧器では、巻線を太くしたり、巻線回数を少なくしたりして\displaystyle \%Z〔%〕を小さくしています。

4. 短絡比

短絡比\displaystyle Kは、次の式で各機器類の特性を表すのに使われます。
短絡比の大きな変圧器では大容量であり、変圧器自体の損失が小さいです。
短絡比は、\displaystyle \%Z〔p.u.:小数〕の逆数です。
式に表すと次のようになります。

\displaystyle K = \frac{V_{1n}}{V_p} = \frac{I_{1S}Z}{I_{1n}Z} = \frac{I_{1S}}{I_{1n}} = \frac{1}{\%Z}

5. 百分率抵抗降下と百分率リアクタンス降下と百分率インピーダンス降下

百分率抵抗降下(\displaystyle p)と百分率リアクタンス降下(\displaystyle q)は、以下の式になります。

\displaystyle p = \frac{r_{12}I_{1n}}{V_{1n}} \times 100〔%〕
\displaystyle q = \frac{x_{12}I_{1n}}{V_{1n}} \times 100〔%〕

この2式を用いて百分率インピーダンス\displaystyle \%Zを表すと、

\displaystyle \%Z = \sqrt{p^2 + q^2}

となります。

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