【質問】
変圧器の項で出てくる「一次換算、二次換算」とはどういうものですか?
一次換算、二次換算とは、変圧器の等価回路上で用いられる計算手法です。
等価回路は、変圧器の内部に存在する一次側のインピーダンスと二次側のインピーダンスを直列に並べて、計算しやすくするために描かれた回路図です。
インピーダンスが直列ですので、電流は一次側、二次側ともに同じ値になります。
ところが、実際は、一次側、二次側の電流は違う値です。
変圧器は、一次側の電力を二次側にコピーしますが、その時、電圧と電流の大きさを変化させます。
【例題】
容量が1000〔W〕の変圧器の場合、
一次側:電圧1000〔V〕、電流1〔A〕
二次側:電圧100〔V〕、電流10〔A〕
インピーダンスが共に1〔Ω〕とします。
電力損失は、
より、一次側:1〔W〕、二次側:100〔W〕となります。
これを等価回路上に表すためには、電流値を一次側の電流1〔A〕か、二次側の10〔A〕か、どちらかに統一しなければ、計算が合わなくなってしまします。
そこで、電流の比率をあらかじめインピーダンスの方に組み込んで計算すると、
変圧比:10倍より、二次側インピーダンスは、1〔Ω〕×10²=100〔Ω〕
このインピーダンスに1〔A〕の電流を流すと、電力損失は100〔W〕となって、換算前の結果と同じになります。(この計算は一次換算です。)
つまり、一次換算、二次換算とは、電流の変化割合をインピーダンスの方で計算しておく手法なのです。