【質問】
直流機の波巻と重ね巻の違いって何ですか?
直流機は、固定子(界磁巻線)と回転子(電機子巻線)からなっています。
固定子は界磁や継鉄などによって構成されており、回転子は電機子や整流子などによって構成されています。
また、電機子鉄心は交番磁束が通るため、積層鉄心(うず電流損を低減する)が用いられています。
電機子巻線のコイルは、普通二層巻のスロット(溝)が使われ、スロットには、上下2本の巻線が入ります。
下の図1のような亀甲形のコイルをスロットにはめ込んでいきます。

その後、コイルと整流子を接続しますが、つなぎ方には波巻と重ね巻があります。
(1) 重ね巻(並列巻)
重ね巻は、図2のようにコイルの一方の口出線をある整流子に接続し、他方の口出線をその隣の整流子に接続していく方法です。

図2は4極8スロットの2層重ね巻です。
磁極数は、
、
、
の4、ブラシ数は
、
、
、
の4、並列回路数は4、コイル数は8、整流子片数は
~
の8です。
低電圧大電流に適し、並列回路数と極数が等しいのが特徴です。
図3は、図2の展開図となります。
コイル幅とスロット間は90°(=360°÷4)で、この間にコイルをはめ込んでいます。
図2のコイルは1回しか巻いていませんが、実際には何十回も巻いています。
巻始めと巻終わりには口出線があり、整流子に接続します。

(2) 波巻(直列巻)
図4は、4極9スロット2層波巻です。

磁極数は、
、
、
の4、ブラシ数は
、
の2、並列回路数は2、コイルの数は9、整流子片の数は
~
の9です。
高電圧小電流に適し、並列回路数は常に2という特徴があります。
コイル幅とスロット間は80°(=360°÷9×2)で、この間にコイルをはめ込んでいます。
図5は、図4の展開図となります。

波巻と重ね巻がどのように違うのかをしっかり理解しようと思うと大変ですが、電験三種の試験では波巻と重ね巻という方法があり、波巻の並列回路数は2、重ね巻の並列回路数は極数と等しいということを覚えておけば良いでしょう。