〔理論007〕電界中の電子の運動

〔理論007〕電界中の電子の運動

電界中、或いは磁界中の電子の運動については文章問題でも計算問題でも時々出題されています。今回は電界中の電子の運動について取り上げます。

図のように真空中の電極間隔が d〔m〕 の平行平板電極に、直流電圧 V〔V〕 を加えると、電極間に平等電界 E〔V/m〕 ができ、電界の強さ Eは、\displaystyle E={\frac{V}{d}}〔V/m〕で求められます。

※ 電界の強さの単位 〔V/m〕 からも解るこの式は重要ですので知っておきましょう。
 以下のことも、関連させて理解しておくことで電界中の電子の運動についての計算問題が解けるようになります。

電界の方向は陽極から陰極に向かう方向になります。

次に、陰極板に -e〔C〕の電子をおくと、電子は電界から F=e  E〔N〕 の力を受けます。
(電子は負の電荷をもち、電子1個の電荷は約 1.6\times10^{-19}〔C〕 です。)

力の方向は、電子の電荷はマイナスのため陽極(+)に引き寄せられるので、電界の方向とは逆になり陽極に向かって移動します。

ここで、電子の質量を m〔kg〕、移動の際に生じる加速度を \alpha〔m/s²〕とすると、
F=eE=m\alpha 〔N〕 より、 \displaystyle \alpha ={\frac{eE}{m}}〔m/s²〕 となります。
(力 F〔N〕=質量 m〔kg〕×加速度 \alpha〔m/s²〕で表されます。1 〔kg〕 の物体を1 〔m/s²〕の加速度で移動させるのに必要な力が1 〔N〕(ニュートン)です。)

また、電子 -e〔C〕 が力 F 〔N〕 の力によって、 d〔m〕の電極間を移動するときの仕事 W_1〔J〕 は、 W_{1}=Fd=eEd=eV〔J〕 となります。
(仕事 W〔J〕=力 F〔N〕×距離 d〔m〕 で表されます。1 〔N〕の力によって1 〔m〕移動したときの仕事が1 〔J〕(ジュール)です。)

さらに、質量 m〔kg〕 の電子が電界 E〔V/m〕 によってエネルギーを得て移動し、陽極板に達したときの速度を \nu〔m/s〕 とすると、このときの運動エネルギー W_2〔J〕 は、
\displaystyle W_{2}={\frac{1}{2}}m\nu^2〔J〕 で表されます。
W_{1}=W_{2} ( 電界が電子に与える仕事と、電子が陽極に達したときの運動エネルギーは等しい )であるので、電子が陽極板に達したときの速度 \nu〔m/s〕 は、
\displaystyle eV={\frac{1}{2}}m\upsilon^2  より、 \displaystyle \nu={\sqrt{\mathstrut {\frac{2eV}{m}}}}〔m/s〕 となります。

[ 練習問題 ]

 図のように、真空中に電極間隔 d〔m〕 の平行板電極があり、陰極板上に電子を置いた。
次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、電子の質量を m〔kg〕、電荷の絶対値を e〔C〕 、極板間の電界の強さを E〔V/m〕とする。

07-2

(a) 陰極板に電圧 V〔V〕 を加えたとき、この電子に加わる力 F〔N〕 を表す式として正しいのは次のうちどれか。
 (1)  \displaystyle {\frac{V^2}{d}}e  (2)  \displaystyle {\frac{V}{d^2}}em  (3) \displaystyle {\frac{V}{d^2}}{\frac{m}{e}}  (4) \displaystyle {\frac{V}{d^2}}e  (5) \displaystyle {\frac{V}{d}}e

(b) 初速度0で出発した電子のt秒後の速度\nu〔m/s〕 を表す式として正しいのは次のうちどれか。
 (1) \displaystyle {\sqrt{\mathstrut {\frac{eEt}{m}}}}  (2) \displaystyle {\sqrt{\mathstrut {\frac{eE}{m}}}}   (3) \displaystyle {\frac{mEt}{e}}  (4) \displaystyle {\frac{eEt}{m}}   (5) \displaystyle {\frac{mt}{eE}}

[ 解答 ]

(a) 間隔がd〔m〕 の平行板電極間に電圧V〔V〕 を加えたときの電界の強さE〔V/m〕は
  \displaystyle E={\frac{V}{D}} 〔V/m〕 … (1) である。
  電子e〔C〕 が電界E〔V/m〕 から受ける力F〔N〕 は、
  F=eE 〔N〕 … (2) であるので、(1)式を(2)式に代入して、
  \displaystyle F=eE=e{\frac{V}{d}}={\frac{V}{d}}e〔N〕
 
(b) 質量m〔kg〕 の物体にF〔N〕 の力が加わると、F=m\alpha〔N〕 より、このとき
  \displaystyle \alpha={\frac{F}{m}} 〔m/s²〕 … (3) の加速度が働く。
電子の加速度は、(2)式を(3)式に代入して
  \displaystyle \alpha={\frac{F}{m}}={\frac{eE}{m}} 〔m/s²〕 … (4)
  初速度が0で加速度が 〔m/s²〕 のときの、 秒後の速度 \nu〔m/s〕 は、
  \upsilon = \alpha t 〔m/s〕 … (5) であるので、
  t 秒後の電子の速度\nu〔m/s〕 は、(4)式を(5)式に代入して、
  \displaystyle \upsilon = \alpha t={\frac{eE}{m}}t={\frac{eEt}{m}} 〔m/s〕

答え (a) – (5) 、(b) – (4)

※ 電界中の電子の運動については、計算問題は比較的簡単な公式の組み立てで対応できますので、得点できるようにしておきたいところです。
   

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