電験三種の数学比例の計算方法をマスターする
比や比例がわかると公式や単位の理解が深まる
電験三種では、比や比例を元にした公式がたくさんあります。オームの法則、変圧器の一次電圧と二次電圧の関係、同期電動機の回転速度と周波数の関係などが代表的な公式です。また、公式以外でも比や比例の関係から数値を求める場合もあります。このように電験三種では、比や比例は多くの計算で必要となりますので、ぜひマスターしておきましょう。
■比と比例式とは?
ある数 aが、他の数b の何倍であるかという関係を比といいます。比はa:b または で表します。
また、2つの比 a:bと a:dがあり、これらの割合が等しくa:b =c:d のとき、この式を比例式といいます。
■比例式の計算方法
比例式では「外項の積=内項の積」という関係が成り立ちます。
外項の積=内項の積とは、ad=bc となるということです。
ad=bcを変形すると 、、
、
、
の4つになりますので、a,b,c,d いずれの数値を求めることができます。
■例題で覚える
例題1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
のとき、
を表す式は。
解き方 答え
外項の積=内項の積より
のとき、→
→
例題2 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
変圧器の一次電圧と二次電圧は、一次側の巻数と二次側の巻数の比と等しくなる。
一次側の巻数が10、二次側の巻数が100の変圧器において、一次電圧が50〔V〕のとき、二次電圧V 〔V〕はいくらか。
解き方 答え 500〔V〕
変圧器の一次電圧と二次電圧は巻数比と等しくなるため、巻数比10:100が ですから、一次電圧が50〔V〕、二次電圧がV 〔V〕であれば、比例式10:100=50:Vは となります。
外項の積=内項の積より、 10:100=50:V→ 10V=100×50→ 〔V〕
■電験三種での出題例
面積が4000〔〕で、100〔kV〕の電圧に耐える平行板ガラスコンデンサを作る場合、最大静電容量〔pF〕の値として正しいのは次のうちどれか。ただし、ガラスの絶縁耐力を5〔kV/mm〕、比誘電率を4とし、また、
〔F/m〕とする。
(1)500 (2)600 (3)700 (4)800 (5)900
答え (3)
解き方
ガラスの絶縁耐力〔kV/mm〕とは、1〔mm〕あたりどのくらいの電圧まで絶縁を保つかということを示しています。そのため、この問題のガラスの5〔kV/mm〕は、1〔mm〕あたり5〔kV〕まで絶縁を保つという意味の比になります。
ガラスの厚さを厚くすれば、絶縁耐力は大きくなりますので、100〔kV〕の電圧に耐えるようにするためには、厚さをどのくらいすればよいかを考えます。
そこで比例式を使って、100〔kV〕のときのガラスの厚さ d〔m〕を求めます。
5〔kV〕:1〔mm〕=100〔kV〕:d 〔m〕
このとき、気をつけなければならないのは単位です。電圧の単位は同じですが、厚さの単位がことなっていますので、〔m〕に揃えます。
1〔mm〕= 〔m〕ですので、比例式は5〔kV〕:
〔m〕=100〔kV〕: d〔m〕となります。
ここから、外項の積=内項の積より
5:1×=100:d→ 5d=100×
→
〔m〕
あとは、この厚さからコンデンサの静電容量を求めることになりますが、今回のテーマは静電容量ではありませんので、以下は省略します。
出題例は、公式ではない比例の関係を用いた計算例です。この例題では、ガラスの絶縁耐力の単位が〔kV/m〕となっていることが、考え方のポイントになっています。このように比や比例がわかると、公式や計算方法だけでなく、単位の理解も深まりますので、ぜひマスターしましょう。