電験三種の数学 ベクトルの使い方を覚える

電験三種の数学 ベクトルの使い方を覚える

ベクトルをマスターして「力」の概念を身に着ける

電験三種では、静電気力や磁力といった、力の計算問題が毎年のように出題されています。こうした問題では、クーロンの法則という公式を用いますが、クーロンの法則だけでは正解することができません。なぜなら、力を計算する場合「大きさ」と「方向」の2つのことを考えなければならず、クーロンの法則は、そのうち「大きさ」だけを求める公式だからです。

力の計算をマスターするためには、「大きさ」と「方向」の2つを考えるベクトルが必要です。そこで、今回は、ベクトルによる力の考え方とクーロンの法則の使い方について解説しましょう。

■力の考え方とは?

例えば「ある物体に10という力が働いた」というと、あなたはどういう状況を想像しますか?

ある人は「物体を上から押しつぶすような力が働いた」と考えるでしょうし、別の人は「物体を右から左に動かすような力が働いた」と考えるでしょう。このように、力とは10という「大きさ」だけでなく、「どの方向に働いた」かがわからないと、それぞれ勝手に考えてしまいます。そのため、みんなが同じように力を考えようとすると「大きさ」と「方向」の2つのことが必要となり、この2つを同時に考えられるベクトルを使うことになるのです。

■力の考え方と計算方法

電験三種でよく出題される電荷に働く力を例に、ベクトルの使い方を解説しましょう。

1、反発力

1

 図1のように、2つの点電荷q_{1} 〔C〕、q_{2} 〔C〕が r〔m〕離れて置かれたとき、両点電荷の間には、反発力f 〔N〕の力が働きます。(図のf 〔N〕の矢印がベクトルです。)このベクトルの向きが反発力の「方向」で、図1のように両方の点電荷が離れるような方向に力は働きます。一方、 f〔N〕が力の「大きさ」です。

クーロンの法則の公式は、01〔N〕ですが、この式では力の「大きさ」 〔N〕だけが求められます。

力の「方向(反発力)」は図1のように、ベクトルで判断する必要があります。

2、吸引力

2

図2のように、2つの点電荷「latex]q_{1}[/latex] 〔C〕、q_{2} 〔C〕が r〔m〕離れて置かれたとき、両点電荷の間には、吸引力f 〔N〕の力が働きます。(図の f〔N〕の矢印がベクトルです。)

このベクトルの向きが吸引力の「方向」で、図2のように両方の点電荷が引きつけあうような方向に力は働きます。一方、 f〔N〕が力の「大きさ」です。

クーロンの法則の公式は、01 〔N〕ですが、この式では力の「大きさ」 〔N〕だけが求められますので、 q_{2}にマイナスを代入する必要はありません。

マイナスは力の「方向(吸引力)」を決める要素になりますので、図2のようなベクトルで方向を判断します。

■例題で覚える

例題 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

真空中に2つの電荷 q_{1}=3〔C〕、電荷q_{2} =-1を図2のように置いた場合、両電荷間に働く力の大きさ f〔N〕はいくらか。ただし、両電荷の距離 は3〔m〕、真空中の誘電率を10 とする。

解き方                答え  3×10^{9} 〔C〕

クーロンの法則を使って計算します。各数値を公式に代入しますが、題意では「真空中」とありますので、比誘電率 は1となります。

03

 

間違い例( =-1として計算するとどうなるか?)

04

力の大きさは0だと力が加わっていないことになります。そのため力の大きさには0より小さな値はありません。

したがって、マイナスは力の方向を決めるために考えることになります。

 

■電験三種での出題例

真空中において、図3のような一辺が2〔m〕の正三角形の頂点A、B、Cにそれぞれ1〔C〕、4〔C〕、-4〔C〕の点電荷をおいたとき、頂点Aの受ける力〔N〕として正しいのは次のうちどれか。ただし、真空中の誘電率を とする。

 

(1) 3.0×10^{9}  (2) 4.5×10^{9}  (3) 7.8×10^{9}  (4) 9.0×10^{9}  (5) 15.6×10^{9}

3

 

                                                                                                                      答え (4)

解き方

4

まず、頂点Aと頂点Bの電荷に働く力を考えます。

Aの電荷が1〔C〕、Bの電荷が4〔C〕ですので、同符号の電荷であることから、Aの電荷には反発力が働きます。(図4のvec{F_{AB}}

vec{F_{AC}}の大きさは、クーロンの法則により、

06

次に、頂点Aと頂点Cの電荷に働く力を考えます。

Aの電荷が1〔C〕、Cの電荷が-4〔C〕ですので、異なる符号の電荷であることから、Aの電荷には吸引力が働きます。(図4のvec{F_{AC}}

の大きさは、クーロンの法則により、

09

求めたい力は図4vec{F_{A}}の です。ベクトル図より、vec{F_{A}}=vec{F_{AB}}=vec{F_{AC}} となりますので

vec{F_{A}}=vec{F_{AB}}+vec{F_{AC}}となります。

力の計算はベクトルで考えます。そのため、ベクトルがどの方向を向いているかを計算に盛り込まないと間違いとなります。この問題で 08と計算してしまうと、大きさだけの計算をすることになりますので、必ずベクトル図を元に 考えるようにしましょう。

 

出題例のような計算では、力がベクトルで表されることを知っていないと、数値の計算だけを考えてしまい、正解を導くことができません。

逆に、ベクトルを使って考えれば、特に難しい計算をすることなく、ほとんど図だけで正解できます。

ぜひ力はベクトルで考えるということをマスターしておきましょう。

 

カテゴリー: 数学
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