電験三種の数学 複素数 3種類の表し方を押さえる

電験三種の数学 複素数 3種類の表し方を押さえる

交流の基本は複素数・ベクトルの理解から始まる

電気には「直流」と「交流」がありますが、電力会社が私たちに供給している電気は

高圧、低圧を問わず主に交流です。電験三種は高圧受電設備の管理をする資格ですので、交流をメインに学習します。その交流を計算するためには、本来、微分や積分が必要なのですが、複素数で表すことによって微積分を使わず計算することができます。

そのため、交流計算の基本は複素数とベクトルとの表記を理解することが第1歩となるのです。

■ベクトルとは?

“量”の表し方には「スカラー量」と「ベクトル量」があります。スカラー量は「大きさ」だけを表したもので、長さ、重さなどがあります。

一方ベクトル量は「大きさ」と「方向」で表すものです。例えば「ある地点から○○〔m〕移動した」というときには「どの方向に」ということがわからなければ、現在どの地点にあるのかわかりません。このように「大きさ」と「方向」を合わせて考えなければならない量を「ベクトル量」といいます。ベクトル量には速度や力などがあります。

■複素数の3種類の表し方

1

1、直角座標表示 11

 

図1は、横軸を実数、縦軸を虚数とした平面(複素平面という)に、 12(ゼットドット)という複素数をベクトルで書いた図です。この 12は、横軸方向の値が「 \sqrt{3}」、縦軸方向の値が「1」です。横軸方向は実数の方向ですので、値を「 \sqrt{3} 」と実数で表します。縦軸方向は虚数の方向ですので、値を「j1=1 」と虚数で表します。

これらのことから、14 という複素数で表せます。

このように、複素数を横軸の値と縦軸の値を使って表示する方法を「直角座標表示」といい、この複素数をベクトルで表すと図1のようになります。

 

2、極形式表示  12=2∠30°

図1の の長さは、ピタゴラスの定理より16 と求められます。

このベクトルの長さ(大きさ)のことを「絶対値」といいます。

また、図1より、 12の向きは「角θ 」であることがわかります。このベクトルの向き(方向)のことを「偏角」といいます。

図1の角θ は、斜辺(12 )の長さ=2、底辺の長さ=\sqrt{3} 、対辺の長さ=1であることから1:2:\sqrt{3} の直角三角形より、 θ=30°となります。

つまり、 12は「絶対値=2」「偏角=30°」より「 12=2∠30°」と表すことができます。

このように複素数を「絶対値(大きさ)」と「偏角(方向)」で表示する方法を「極形式表示」といい、この複素数をベクトルで表すと図1のようになります。

3、指数関数形表示  17

図1の 12の絶対値=2、偏角=30°です。

偏角を表す場合、π=180° 、2π=360° として表す方法があります。これを「弧度法」といいます。

図1の偏角=30°を弧度法で表すと、30°=180°/6 、π=180° 、であることから

30°=π/6 となります。

つまり、12 は「絶対値=2」「偏角=π/6 」より「 17」と表すことができます。

このように複素数を「絶対値(大きさ)」と「偏角(方向)」で表示する、もう1つの方法を「指数関数形表示」といい、この複素数をベクトルで表すと図1のようになります。

この指数関数形表示に用いられる「e 」は自然対数の底と呼ばれ、複素数を指数関数形表示していますという記号です。

■例題で覚える

2

例題1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

図2の複素数 を直角座標表示で表してみよう。

解き方                答え 1+j\sqrt{3}

12の横軸の値は「1」、縦軸の値は「+j\sqrt{3}

よって、 19と表せます。

 

例題2 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

図2の複素数 を極形式表示で表してみよう。

解き方                答え 2∠60°

絶対値は、ピタゴラスの定理より20

偏角は、斜辺(12)の長さ=2、底辺の長さ=1、対辺の長さ=\sqrt{3} であることから1:2: \sqrt{3} の直角三角形より、 θ=60°となります。

よって、2∠60°と表せます。

例題3 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

図2の複素数 を指数関数形表示で表してみよう。

解き方                答え 21

例題2の解き方より、絶対値=2

偏角は60°ですので、これを弧度法で表すとπ/3 となります。

よって、21 と表せます。

■電験三種での出題例

図のように、3つの交流電圧源から構成されている回路において、各相電圧

22は、それぞれ次のように与えられている。

23

このとき、図中のc-b間の線間電圧 と b-c間の線間電圧の大きさ(スカラー量)の値として、他dしいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

(上記問題は出題例ですので、図・解答は省略させていただきます。)

 

理論の問題では、このように電圧や電流などの条件が複素数で与えられることがよくあります。この出題例は「電圧を極形式表示」で表したケースです。

この条件を読み取って、ベクトル図を書いたり、計算をしなければ問題を解くことができません。ぜひベクトルの表し方をマスターしましょう。

 

カテゴリー: 数学
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