電験三種の数学 三平方の定理の計算方法を押さえる
三平方の定理を使いこなして電気を簡単に扱おう
電験三種では、直角三角形をよく使います。
問題によっては直角三角形を書いて、それをもとに計算すると簡単に解けることがよくあります。直角三角形の計算には、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用います。今回は三平方の定理の計算方法を取り上げましょう。
■三平方の定理とは?
下図1のような直角三角形ABCの3つの辺abcには、次のような式が成り立ちます。
…① (斜辺の2乗は他の2辺の2乗の和に等しい)
これを三平方の定理といいます。
■三平方の定理の計算方法
図1の3つの辺abcを三平方の定理を使って求めてみましょう
1、辺cを求める
①式より、 →
→
2、辺aを求める
①式より、 →
→
→
3、辺bを求める
①式より、 →
→
→
■例題で覚える
例題1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
図1の直角三角形において、a=3、b=4のとき、cの値はいくらか。
解き方 答え 5
①式より、 →
…②
②式に、a=3、b=4を代入する
例題2 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
図1の直角三角形において、a=1、c=2のとき、bの値はいくらか。
解き方 答え
①式より、 →
…③
③式に、a=1、c=2を代入する
例題3 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
図1の直角三角形において、b=0.8、c=1のとき、aの値はいくらか。
解き方 答え
①式より、 →
…④
④式に、b=0.8、c=1を代入する
=0.6
■電験三種での出題例
図2のように、正弦波交流電圧E=200 〔V〕の電源がインダクタンスL 〔H〕のコイルとR〔Ω〕の抵抗との直列回路に電力を供給している。回路を流れる電流がI=10 〔A〕、回路の無効電力Q=1200が 〔var〕のとき、抵抗R 〔Ω〕の値として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから1つ選べ。
(1)4 (2)8 (3)12 (4)16 (5)20
答え (4)
解き方
回路の皮相電力は、 S=EI=200×10=2000〔V・A〕、無効電力は、 Q=1200〔var〕より、電力の直角三角形をつくり、有効電力 P〔W〕を求めます。
〔W〕
有効電力は、 〔W〕より
〔Ω〕
電験三種では、出題例のような電力の計算以外に、交流の計算や力の計算などで直角三角形を使います。三平方の定理をマスターしておけば、直角三角形を使った計算は簡単にできますので、ぜひマスターしておきましょう。