電験三種の数学 逆三角関数を覚える

電験三種の数学 逆三角関数を覚える

数学的な表現の幅を広げよう

電験三種では、三角関数の応用として“逆三角関数”というものを使うことがあります。

逆三角関数という名前から「三角関数だけでも大変なのに、もっと難しいことなのでは?」とイメージされるかもしれませんが、逆三角関数は、三角関数をそのまま使って、少し見方を変えるだけです。逆三角関数を使えば、角度を辺の比で表すことができます。電験三種では、主に0°、30°、45°、60°、90°などの角度以外の角度を表す場合に逆三角関数を用います。

■逆三角関数とは?

三角関数は「角度から辺の比」を求める関数ですが、逆三角関数は「辺の比から角度」を求める三角関数です。

例えば、三角関数の tan30°は、tan30°=\frac{1}{\sqrt{3}} ですが、これは「直角三角形において、ある角度が30°の場合、その角度に対する底辺と対辺の比は\frac{1}{\sqrt{3}} になる」という意味です。つまり、角度をもとに辺の比を求めているわけです。

それに対し、逆三角関数は「底辺と対辺の比が\frac{1}{\sqrt{3}} なら、その辺に対する直角三角形の角は30°になる」ということを表しています。

 

■逆三角関数の考え方

図1を使って、逆三角関数を考えてみましょう。

1

図1の直角三角形において、角 =30°が先にわかっている場合を考えます。

角 =30°ですから、3つの辺の比は1:2:\sqrt{3} になり、θ の向かい側の辺が対辺=1、 θに接する辺が底辺=\sqrt{3} がわかります。

このことを三角関数の tanを使って表すとtan30°=\frac{1}{\sqrt{3}} となります。

つまり、三角関数は、角度がわかっているところから、辺の比を求めています。

今度は、同じ図1で角 の大きさがわからず、辺の比が先にわかっている場合を考えてみます。

辺の比が図のように1:2:\sqrt{3} のとき、角 θ=30°がわかります。

このことを逆三角関数の tan^{-1}を使って表すと tan^{-1}\frac{1}{\sqrt{3}}=30°となります。

つまり、逆三角関数は、辺の比がわかっているところから、角度を求めています。

今回は tanの逆三角関数を解説しましたが、同様の考え方でsin 、 cosにも逆三角関数はあります。

逆三角関数は,、sin^{-1}cos^{-1}tan^{-1}と表記し、「アークサイン」「アークコサイン」「アークタンジェント」と読みます。

■例題で覚える

 

例題1 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

図2の直角三角形の角θ をtan^{-1} で表せ。

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解き方                答え   tan^{-1}=45°

図2において、底辺\sqrt{2} 、対辺\sqrt{2} であるので、θ をtan^{-1} で表すと、

θ=tan^{-1}\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}}=1=45°

例題2 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

図3の直角三角形の角θ をtan^{-1} で表せ。

3

解き方                答え   tan^{-1}=\frac{3}{4}

図3において、底辺4、対辺3であるので、 θをtan^{-1}で表すと、θ=\frac{3}{4}

このような場合、角度の値は関数電卓等で求めなければなりません。電験三種の試験では関数電卓は使用できませんので、 tan^{-1} は辺の比をそのまま角度として扱います。

■電験三種での出題例

図4のように、 R〔Ω〕の抵抗とインダクタンスL 〔H〕のコイルを直列に接続した回路がある。この回路に角周波数 ω〔rad/s〕の正弦波交流\dot{E} 〔V〕を加えたとき、この電圧の位相〔rad〕に対して回路を流れる電流 \dot{I}〔A〕の位相〔rad〕として、正しいのは次のうちどれか。

(1)sin^{-1}\frac{R}{\omega L}遅れる

(2)cos^{-1}\frac{R}{\omega L}遅れる

(3)cos^{-1}\frac{R}{\omega L}進む

(4)tan^{-1}\frac{R}{\omega L}遅れる

(4)tan^{-1}\frac{\omega L}{R}遅れる

4

答え (5)

解き方

回路のインピーダンスは 直列回路であることから\dot{Z}=R+j\omega L となります。

また、直列回路の電流\dot{I} は、基準ベクトルとなります。 → 図5(a)

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直列回路では、電圧はインピーダンスと比例しますので、インピーダンス三角形は図5(b)となります。

したがって、電圧 に対する電流 の位相は図8(b)の角θに なることから

θ=tan^{-1}\frac{\omega L}{R}〔rad〕となり、 tan^{-1}\frac{\omega L}{R}遅れ、となります。

逆三角関数は、辺の比から角度を求める関数ですが、例題2や出題例では、逆三角関数をそのまま角度として用いています。逆三角関数を角度として用いれば、例題1のようにきちんと角度が求められない場合があっても、角度を表すことができます。電験三種では直角三角形をよく使いますので、逆三角関数をマスターすれば、直角三角形から答えを導き出せることが増えます。

カテゴリー: 数学
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